Flow 04 採用

障害者を採用するにあたり、社内で雇用水準を定める必要があります。ここでは、何に着目すればよいのか、どこに水準を置くとよいのかをご紹介します。

実施すべき3つの検討

①採用チャネル

障害者雇用においては多様な採用チャネルがあるため、複数のチャネルを併用するなどして自社に合ったものを選ぶと良いでしょう。また、外部支援機関では、企業や当事者向けの採用イベントなどを提供しています。ここでは、採用チャネルの例と外部支援機関が提供する支援をご紹介します。

採用チャネルの例
代表的なチャネルには、ハローワーク、民間の就労移行支援事業所、特別支援学校、一般の学校、一般雇用や障害者専門の職業紹介業者などがあります。
障害者合同就職面接会・職場体験実習
合同就職面接会では、一度に複数の求職者と話せる機会を持つことができ、効率的に採用活動を進めることができます。また、職場体験実習では、求職者に実際の業務を体験してもらうことで、採用のイメージをつかんだり、企業内に障害者雇用のノウハウを蓄積することにつながります。以下の支援を確認してみましょう。

②選考・面接での確認事項

障害者と一般社員において、採否の判断のポイントは同じであり、基本的には応募者が採用後に発揮できる能力を見出しながら採否を検討することが望ましいでしょう。
その他に障害者を雇用するに当たり確認しておくとよいポイントは、安定就労ができるのか、配慮事項は何かといったことです。採用チャネルなどの外部支援機関と相談しながら確認や要件のすり合わせをしましょう。

選考・面接での確認事項
■ 安定就労
自身の障害特性を理解しているか、必要な配慮を周囲に説明できるか、睡眠や規則正しい生活、通院・服薬などの自己管理ができているかなどの観点から判断します。
■ 配慮事項
人材が求める配慮事項について、機器の導入や業務の工夫で対応可能かなど、自社が対応できる合理的な範囲で要件を調整します。
■ スキル
一般雇用と同様、大学や就労支援機関、過去に所属していた企業での成果などから判断することになります。就労支援機関においては、自分の能力を示す成果物を発表しているケースもあります。
スキルは入社後にも獲得できる一方、安定就労や配慮事項が整っていないと就労継続が困難になるケースが多いため、安定就労と配慮事項を特に重視する企業が多いようです。

一方で、障害の自己理解や職業準備性が基準に満たない場合にも、周囲のサポートで就業できるということを十分に理解した上で採用に臨むことが重要です。精神障害や発達障害のある方の中には、なかなか環境に馴染めず、履歴書の経歴欄に中退や短期離職が並んでいるケースもあるかもしれません。能力に期待できるのであれば経歴は重要視せず、面接等で丁寧に理由を聞いたり実習で見極めたりする姿勢も大切です。

③採用の方法や注意すべき点

面接や筆記試験など、一般的な方法で選考を実施すると良いでしょう。なお、障害の特性上、特に発達障害のある方の中には、対面・口頭でのコミュニケーションに苦手があり、面接ではポテンシャルを把握しきれないケースもあります。その場合は数日~数週間のインターンシップ(実習)を行い、安定して勤務できるか、必要な配慮は何か、求めるスキルを発揮できるか、等を確認するのもよいでしょう。インターンシップをすると、雇用前に障害者と従業員が触れ合う機会も作れるため、受け入れのハードルが下がりやすいという効果も期待できます。
また、採用に当たっては、応募者の障害の特性に応じた合理的配慮が求められます。合理的配慮の指針では、採用の段階では障害者本人から配慮が必要な事項を申し出ることになっていますが、念のため、同意を得ながら採用を進めると良いでしょう。
雇用後の業務選定などをする際に本人の障害について知っておく必要があるため、本人の同意が得られれば面接時に必要な情報を収集・確認できますが、障害の種類や程度で採否を決めるべきではないことには留意しましょう。

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